矢作俊彦を読む  1  しばらく矢作俊彦特集

敬愛する作家矢作俊彦の読書案内をしばらく書きたいと思います
最近も沢山の本を読んでいますが、やはり思い出したように再読する作家です




矢作俊彦作品まずは
王道のハードボイルド
二村永爾シリーズです

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二村永爾は神奈川県警の警部 慶應大学野球部出身 ポジションはキャッチャー

この二村リーズは、日本で探偵小説が成り立たない中で(捜査権がない)、警察官を自由に動かすために休日に担当ではない事件の捜査を頼まれるというシチュエーション(休日の警官)を矢作俊彦が発明した傑作である これにより正式な捜査ではないが警察手帳を使える独自のひとり捜査という話を作り得るに至った

二村が出る小説は初期からあるが第1期は短編であり、★のものがいわゆる二村シリーズと呼ばれている長編になる 第4期の★以外は、未だ未刊である

第1期
1. 夕焼けのスーパーマン
2. 王様の気分
3. 言い出しかねて
第2期
1. リンゴゥ・キッドの休日 ★
2. 陽のあたる大通り
3. ヨコスカ調書
第3期
1. 真夜中にもう一歩 ★
第4期
1. グッドバイ
2. So Long
3. THE WRONG GOODBYE-ロング・グッドバイ ★
4. チャイナマンズ・チャンス
5. ルッキン・フォー・ビューティー
6. フィルムノワール/黒色影片★
8. ビッグ・スヌーズ

現在ビッグスヌーズは『新潮』で連載されており、二村は定年になるが雇用延長で嘱託として相談室のようなところにいる。あぜ丸はもちろん全巻購入して読んでいる(買わないと刊行されない恐れがあるから) 題名を見ればそれがチャンドラーの『大いなる眠り』を下敷きにしているのがわかりそのストーリーと比べながら読むのも楽しい

この二村シリーズの魅力は事件が解決するのだが謎だらけであり、いったいどうなったんだっけと感じる読後感。ストーリーを追うタイプの小説しか受け付けない人は矢作俊彦の作品は受け付けないと思う。結論などないからだ。

これは村上春樹が自分の作品を作る時チャンドラーの方法論を以下のように語っている

「チャンドラーのひとつのテーマというのは、英語で言うと「seek and Find」という「探し求めて、探し出す」という……。でもfindした時にはseekすべきものは変質しているというようなことがテーマだと思う」

もちろん矢作俊彦もこの文脈で書かれるし、そこにヘミングウェイ、そして日活アクションがその背景にある
二村はもちろん50年代の石原裕次郎だし、浅丘ルリ子やエースのジョーが出てくると考えた方が小説世界に入りやすい
そして矢作俊彦自身はハードボイルドではなくインタビュー小説と読んでいる 街を歩き人の話を聞きseekし findするわけだ

多くの米国ハードボイルドを読み尽くし、いわゆる日本のハードボイルド作家もほとんど読んでいるあぜ丸にして、矢作俊彦ほど知的でスタイリッシュな会話のある小説はないし、矢作俊彦しか本当のハードボイルド作家はいないとさえ思う

「新宿鮫」シリーズで有名な作家の大沢在昌さんも、矢作俊彦の文章に衝撃を受けて、布団を被って寝てしまった と言うエピソードはあまりに有名

ストーリーが追いやすく初心者に読みやすいのは『真夜中にもう一歩』。冒頭シーンは今はなきオリジナルのシーガーディアンである

この次の『ロンググッドバイ』ではシーガーディアンは、潰されており

「ここには昔、美味いマティニが飲める素晴らしいバーがあった。無能な役人とバカな不動産屋がそれを潰してしまったんだ・・・」と二村刑事に語らせている

さぁ読んでみよう
そして 真夜中にもう一歩
踏み出すことにしよう

それにしても日本には

民主主義とハードボイルドは根付かない

#矢作俊彦

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